線香花火

地球が誕生してからの46億年を24時間とすると
600万年前の人類誕生は23時58分43秒だと言う。
形容する言葉さえも見当たらない
気が遠くなる悠久のときの中で
今もしこの自分が何かを「続ける」と決めたら
ただただ「続く」ことに対して
どれだけの力をもつのだろう。
そして思い至った。
まずは「続く」ことを「続ける」ことだ。
気分が凹んでいるときはなおさらだ。
自分の中に脈々と刻まれた
大いなるリズムの力を借りればいいんだ。
旬の滋味を愉しむ、とか
冬の明け方に寝床でぬくぬくする、とか
春に備え始めた鳥のさえずりを聴く、とか。
そうしていたら
いつの間にか
自分の意思で「続ける」ことが
自然に「続く」ようになるのかもしれない。
毎朝5時に起きる、とか
毎週20㎞を走る、とか
毎月10冊の本を読む、とか
どんなことでもいい、
少しずつでも前に進めるかもしれない。
***
線香花火は牡丹、松葉、柳、散り菊へと
うつろひ舞っていく。
せっかく与えられた自分の人生、
23時59分59秒すぎ
そのささやかな花を咲かせたい。
<往来の難しい時節ではありますが、
欧州生活を希望される方やご興味のある方、
訪ねていらっしゃる方、在欧30年になる私で
お役に立てることがあれば、お知らせください>