ある若者は

「僕、ビーガンになったんだ」
大学生としてひとり暮らしを始めた息子が言った
1キロの肉を得るためにどれだけの
水や穀物が要るか知ってる?
少しでも地球や動物の負担を減らしたいんだ
放っておけば午後まで寝ていた、
試験前に徹夜をするどころか
諦めてさっさと寝床に入った、
濃いめの肉そぼろ、甘口の炒り卵、
色鮮やかなインゲンがたっぷり
散りばめられた三色どんぶりが
大好きだったあの息子が
まるで
友達とちょっと映画館行ってくる
と言うように、ぽつんと呟いた
帰省のたびに頬がこけても
久しぶりの家庭の味を貪るように食べても
肉も魚も卵も乳製品も
あっけらかんと
でも頑として断つ若者は
そうして
自分なりのやり方で
生まれ来る子どもたちを想っている
<ひとり暮らしの息子に教えてあげたい
いろとりどり野菜のガーリックロースト>
ゴロゴロ食べやすく切った野菜と
ガーリックのかけらをたっぷり、
ローズマリーの枝を天板に広げ、
オリーブオイルを多めにふって
200度のオーブンで焼く
(写真は左上から時計回りに玉ねぎ、
ナス、ブロッコリー、赤ビーツ)
15分ほどしてから一度スプーンで
ひっくり返してさらに15分、
こんがり焼けたらできあがり
(塩をふらなくても野菜のあま味とうま味がたっぷり)
ローストした松の実や枝豆をまぶしたら
おいしくてミネラルやタンパク質の補充にも