彩模様

あるとき「言語の日」という催しがあった
息子たちが通った公立校でのことである
小学校から高校まで2000名ほど在籍する生徒たちが
各家庭にゆかりのある言葉でグループになり
全校生徒の前で各言語を披露したところ
その数たるや40ほどもあったという
つまり40種類の言語である
それだけいろいろな背景を持つ生徒たちが
ひとところに日々集っているということだ
両親の組み合わせも実に多種多様で
ベルギーとモロッコ、オランダとジャマイカ、
ハンガリーとチュニジア、ベトナムとロシア、
台湾とルーマニア、そして私たちの日本とドイツ、などなど
ドイツの地方都市で学ぶ息子は
生れ育った地のこんなモザイクを恋しく感じるという
それはるつぼのように全部を溶かして一色になるのではなく
美しい色合いもあれば
ところどころ滲んだり乾いたりしながらも
深い味わいをもち
釣り合いを生み出す彩たち
大小さまざまな流れや石を選び伝いながら
こうして多彩に綾なす欧州のひと隅へたどり着き
そこで八百万の神が織りなす来し方日本を想う
ときのうつろいとはまったく不思議なものである
さてこれからどんな彩模様を編んでゆこう