無常の美

子どもの頃、お絵かきが好きだった
新聞の片面印刷の折込広告がキャンバスだった
思いつくままに書きなぐる
その時間がただただ好きだった
思えば私にとっての創作活動は
それがピークだっただろうか
そんなだから
人はなぜ自分の作品や
活動を人に知らしめたいのか
全くもってわからない
おそらくどんな絵の具でも描けない
刻々と移りゆく雲の色も
森の木陰に隠れるウサギの毛の柔らかさも
野の花の芳香も
ただただそこに在る
私はそういう自然の
密やかで確かな
無常の美にひれ伏す