とびきりの夏

あれ、日本の匂いがする
欧州のひと隅で生れ育った息子が呟いた

今日は少し気温も湿度も高いからかな
キッチンの窓から流れる夕餉の支度の香りかな
懐かしい空気だね

小さい頃からくる年もくる年も
夏休みは日本のじじばばと過ごしたものだから

夏というものは
とにかく暑くて湿気があって

街中はどこに行こうが混んでいて

山で早起きすればカブトムシと遭え

清流にはきらきらと魚が泳ぎまわり

大洋はぎらぎらと煌めき

甚平や浴衣を着て夕べの花火を楽しみ

そうめんや縁側で食べるスイカがなによりのご馳走で

麦茶がのどの渇きを潤すものだと

息子たちは
そうやって日本のとびきりの夏を覚えていった

ところが今年は世界を席巻する異変で
予約していた日本行の便は運休になり
やむなく取り消し
欧州の爽やかな夏を穏やかに過ごしている

去年の夏の
そのまた前の夏の
何年も前の夏の

あの山で撮った
その海で撮った
幾葉もの写真を眺めながら

どこにいても
とっておきの笑顔で写っている
ゆかしいじじばばの写真を眺めながら

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<熱い暑いと言いながら頂いたあの夏の 豆カレー>(4人分)

材料:

(A)ココナツオイル 大2~4
ショウガ・ニンニクのすりおろし 各大2
スパイス(クミン・カルダモン・ターメリック・クローブ・
カイエンペッパー・シナモン等 各小1~2、
ガラムマサラ 大2~3)

(B)玉ねぎ・ニンジン・セロリみじん切り 各500g

(C)お好みの豆を柔らかく煮たもの 200g
(ヒヨコ豆、白いんげん豆、レンズ豆 等々)
ナッツパウダー(お好みのナッツを砕いたもの)100g~200g
トマトピューレ・トマト水煮 各1缶
野菜ブイヨン1個、水1㍑

作り方:

  1. 熱した鍋に(A)を入れて香りを立たせる
  2. (B)を入れて気長に炒める
  3. しんなりしたら(C)を入れて煮立て弱火で20~30分ほど煮る
  4. 塩・コショウで味をつけて完成

ヒント:
・野菜は甘味がでるまで炒めるとコクが出る
・ナッツパウダーを入れると味に深みが出る
・翌日は格段においしくなる
・ピクルスやキムチ、サンバルウレック等 酸味や辛みを足しても

 

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白乃ちえこ
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