実り

この若い男性が中学生だったころ
喘息治療のために在籍していた
ドイツとデンマーク国境近くの全寮制の学校では
生徒たちに聖書の時間が課されていた

それなのに
この男性だけが
裏の森へひとり
樹々に教えを乞いに行くことが
許されたという

男性は
大きな丸太の上に大の字になって
大空を見上げては
溢れ出る想いを反芻し
樹々が受け止めてくれたという

牧歌的な時代だったからなのか
聖書の教師に理解があったゆえなのかは
今となってはわからない

それでも
この男性が勉学や仕事に励んだ
ずっとずっとあとに出会った
ある日本人女性は

樹々が

風が

木漏れ日が

どれだけ多くを
どれだけの実りを
男性にもたらしたのか
誰よりもよく知っている

そんな実りが
ひとりでも多くの 今を生きる若者にも
もたらされることを

それだけの地球であり続けることを
真摯に願い続けている

 

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<父から息子たちに伝えたい ドイツのパン>

旅先でそれぞれの土地で楽しまれる食事を堪能しても

帰宅したときは

日本人である私はまずご飯かお蕎麦を所望するのですが
ドイツ人の夫は穀物の味がしっかりずっしり感じられる
滋味あふれるドイツパンにたっぷりバターを塗って愉しみます。

小麦だけでなくライ麦、スペルト小麦、ひまわりやかぼちゃの種、
ナッツ類などなど、噛み応えや香ばしさを大切にした素材のおいしさは
実直で飾らない国民性にも通じます。

ハムやパテなど(拙宅では頂かないものの)やチーズとの
相性が抜群であることは言わずもがなです。

幼少期に教えられ伝えられた
食文化というものは
味覚だけにとどまらない

それぞれが抱いてゆける 安心 につながるものだと感じます。

また

日独両国+居住国や近隣国の文化を知る息子たちですが
母親が台所で采配をふる時間が長いだけ
和食に対してより ほっこり するようで
母親には嬉しくもあるのです。

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白乃ちえこ
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