What would you have done?

ドイツの小説「Der Vorleser」(朗読者)原作の
独米共同制作映画「The Reader」を久しぶりに鑑賞しました。

著者が夫と同世代で同じ街で同じ専攻だったという
個人的な親近感を差し引いても、

色調を抑えた映像も、
演者の力量も、
胸が締め付けられるような人生の皮肉も、
どれも惹きつけられました。

そして何よりはっと息をのんだのは
主人公の女性が発したひと言でした。

What would you have done?

ナチス政権下のユダヤ人強制収容所で看守として関わり
戦後の戦犯裁判で尋問する裁判官に向けた言葉です。

その質問によって
彼女が犯した罪が棒引きにされるものではないでしょう。
とはいえ、あの狂気は
ひとりの女性を裁いて済む話でも到底ありません。

若かった自分が生活のために引き受けた仕事だったという、
そんな境遇に自分も置かれていたら、
人道に背くとわかっていても遂行する以外に
一個人が全体主義国家に対して何ができただろう。
一般市民が何をどこまで知らされていたのだろう。
そもそも戦時下の正義って何だろう。

背負うあまりの重荷と
それでも懸命に生きる女性の哀しさも然ることながら

裁きではなく
全ての人になげかけられた静かで深い問いに
観終わってからもしばらく動くことができませんでした。

 

あなたならどうしていましたか。

 

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白乃ちえこ
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