人の生

幼い子供ふたりは餓死
4歳だった年長の母を連れて
生き延びたという

そんな満州からの逃避行の末に
戦後ようやく踏んだ母国の地は

いったいどんなふうに
祖母と母を迎えたのだろう

そのうえ戦後の苦労も重なって
半身不随となるばかりか
祖父に三下り半をつきつけられた
祖母という人は

「私は幸せだった」

と涙さえ浮かべて断言し
辞世していった

いったい人の生とは
何をもって幸せというのだろう
何をもって完結するのだろう

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白乃ちえこ
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