祖母の導き2

狂おしいほどの想いを絶たれたあの日
社会の一部であるという自覚だけが
社会生活に戻らなければという自覚だけが
ぎこちなく自分の肉体を
動かして帰路に向かわせたのだった
そして車が壊れた
それまで問題のなかったあの車が
高速で突然
よりにもよってあの日のあの帰路で
とてつもない金切り声をあげたのだった
一瞬
自分の心の叫び声を聞いたのかと思ったが
車であるのは疑いようがない
いったい悲しみのエネルギーが
そんなことをしでかすのか
涙で見るも無残な我を忘れ
エンジン音だけに意識が向いた
そしてとにかくゆっくり走行して
何とか帰着したのだった
あれは
目も当てられない情けないこの私を
冥府の祖母が導いてくれたのだろうと
どうしても思えるのだ